久保家座談会インタビュー

  • 第4話以降の内容を一部含みますので、お読みいただく際はご注意ください

    影が薄くてクラスにいても存在を認識されない男子高校生・白石純太。そんな彼のことを認識し、意識している久保渚咲。そして二人の関係をからかう渚咲の姉・明菜と、張り合いを見せる従妹の沙貴。彼らのやり取りが心地よい『久保さんは僕を許さない』が遂にアニメ放送開始! 放送を祝し、渚咲・明菜・沙貴を演じる三人のキャストを招いて久保家座談会を実施。演じる上で意識していることや、台本を読んで感じたことを伺った。

  • 皆さんは、『久保さんは僕を許さない』という作品を知った際にどういった印象を受けましたか?
    花澤さんはASMR動画の収録をされたときがファーストコンタクトですよね。
    花澤そうですね。ASMR動画に参加させていただくときに初めて原作をよみました。とにかく渚咲ちゃんの可愛さが爆発している作品だと思いましたね。言葉攻めだったり、ボディタッチだったり、読みながらたまらない気持ちになるんですよ。最初は久保さんに翻弄されたい人たちがワクワクしながら読む作品なのかなと感じたんですけど、だんだんと白石くんがクラスに馴染んでいく展開も描かれていくじゃないですか。そこに感動もできるので、いろいろな楽しみ方ができる作品ですね。
    伊藤私が最初に読んだのはオーディションを受けさせていただくときでした。見た目からして久保さんはものすごく可愛い女の子ですし、『許さない』って強い言葉がタイトルに入っているじゃないですか。いったいどんなラブコメが繰り広げられるんだろうと疑問に思いながら読み始めたら、誰しもが憧れるキュンキュンするポイントがちりばめられていて、もどかしい気持ちになりましたね。普通の男子だったらすぐにコロッと行きそうなところを、白石くんだからこそ、くっつきそうでくっつかない期間が続くんですよ。それでいて白石くんは独特の雰囲気をまとっているから、ポップに読み進めることができるんです。「こんなことあるわけないだろ!」って笑ってツッコミを入れながら楽しく読んでいました。
    花澤そうだよね、普通だったら渚咲のことを好きになっちゃうよね。
    伊藤そうですよね(笑)。すぐ気付くようなアプローチをしているのに、どうしてこんなに周りのことが見えないんだろうって思っていました。
    雨宮私もオーディションのときに初めて読ませていただいたんですが、絵柄がとても可愛いなと思いながら読んでいくと、久保さんがとてもあざとくて。もしかして、自分が可愛いって分かってやっているのかな? と思ってしまったんですよ。ちょっと不安になっちゃうくらい。
    花澤え、なんで(笑)?
    雨宮ちょっと裏がある女の子なのかなって。タイトルも『許さない』ですし、嫌な子だったらどうしよう、嫌いなキャラクターじゃないかなとか不安が頭をよぎっちゃって。でも、久保さんはとにかくピュアな女の子で、同じくらいピュアな白石くんと愛おしい日常を過ごしていくじゃないですか。それを知って、とても幸せな気持ちになりましたね。不安がなくなってからはひたすら可愛いな、と思って読みましたよ。その一方で白石くんの顔が適当に描かれているときがあることにも気付いていくんですけど。
    花澤簡単な目をしているよね。
    雨宮一人だけ、サササッて描かれていますよね。でも、慣れていくと白石くんはあれじゃなきゃダメだなって感じるようになりました。
  • 花澤さんは、ASMR動画の収録とアニメのアフレコでは、渚咲の役作りに変化はありましたか?
    花澤ASMRのときは、白石くんになりきっているリスナーさんを喜ばせたい一心でやっていたんですよ。もう全力でダミーヘッドマイクの白石くんに話しかけていました。そこからアニメ化すると伺って、白石くんと掛け合いができる嬉しさを感じましたね。でも、アニメになって白石くんと掛け合いをしていると、彼女の中から天然のあざとさがどんどん出てきて(笑)。純粋な気持ちで「白石くんと仲良くなりたい!」「白石くんのことを知りたい!」って思っているんですよ。そこでちょっかいを出しちゃうのが渚咲なんですけど。なので、あのときとはまた違う、等身大の渚咲像を考えながらアフレコをしていました。
  • 伊藤さんと雨宮さんは、オーディションに合格したと伺った際、どのような心境でしたか?
    伊藤とても嬉しかったですね! オーディションのときは明菜だけじゃなく、いろんな役を受けさせていただいたんですよ。それだけ、絶対にこの作品がアニメ化したときには関わりたいと思っていたくらいでした。「明菜に決まりました」とマネージャーさんから連絡をもらったときには、嬉しかった気持ちと同時に「えっ?」と聞き返してしまって。メールで確認をした上で、マネージャーさんに直接会ったときにも「本当に明菜?」って、確認したんですよ。それくらい、あまりにも今までの自分が演じたキャラクターとは違っていたんですよね。でも、明菜を演じるということは自分にとって新しい扉を開くきっかけになるんだろうなとも感じたので、とても気合が入りました。アフレコが始まるまでずっとドキドキしていましたね。
    雨宮私はそもそもオーディションのとき、「このキャラクターを受けるの……?」という気持ちだったんですよ。沙貴って、『久保さんは僕を許さない』の中でも大人しいキャラクターですし、ロリっ子要素も強いじゃないですか。そういうキャラクターなら、私より合う人がいるんじゃないかなと思いつつ、オーディションではやれることを全力でやってみたんです。そうしたら、受かったとお話を頂けてびっくりしました。沙貴ちゃんに感じた可愛さを全力で表現できるように意識しながらアフレコに臨みましたね。
  • お二人とも意外なキャスティングだったんですね。伊藤さんが花澤さん演じる渚咲のお姉さん役というのも面白い配役です。
    花澤いやいや、美来ちゃんは元々本人もお姉ちゃんですから。
    伊藤そうですね(笑)。伊藤家の長女です。
    花澤なので、美来ちゃんにお姉ちゃんってイメージはあったんですよ。弟さんのことが大好きって話も、別作品の現場でいっぱい聞いていたんです。明菜役が美来ちゃんって聞いたときには「ピッタリだな!」と思ったくらいでした。弟への愛というか、愛で方を熟知している人が明菜を演じるとどうなるんだろうって楽しみにしていましたね。
    伊藤長年培ってきた愛する気持ちを爆発させていただきました(笑)。
  • 頭を撫でたりからかったりと、明菜から渚咲へのからかいは観ていて心地よいですよね。
    花澤いい姉妹ですよね。
    伊藤渚咲もお姉ちゃんに対して「もう!」と思うところもありますけど、素直になるときもあって。
    花澤そう! ちゃんと謝れるいい子なんですよ! 言い過ぎても、基本的には仲良しだし。ただ、白石くんが絡んでくるとちょっとピリッとするよね。
    伊藤「お姉ちゃんやりすぎ!」って怒られちゃう。そこはもう、思春期特集のリアルな姉妹関係が出てるなと思いますね。
  • 渚咲も独占欲ないし嫉妬心が強いですからね。
    花澤明菜があんな感じだと、「お姉ちゃんのことを好きにならないかな?」と気が気じゃないと思うんですよ(笑)。
  • そんなからかい上手な明菜を伊藤さんが演じる一方で、小さくて可愛い沙貴を雨宮さんは演じていらっしゃいます。こちらも雨宮さんご自身では意外なキャスティングだったそうですが。
    花澤天ちゃんは何か一つのものに対して突き進む芯の強さを持っているんですよ。そういえば一緒にラジオをやっていたとき、ものすごい熱量で鎖骨愛を語られたんですよ。その熱量が尋常じゃなくて、正直怖かった(苦笑)。
    雨宮熱量が高すぎたんですね(笑)。
    花澤そうそう。そんな天ちゃんと同じ揺るぎない真っ直ぐな愛を、沙貴ちゃんも持っているんですよね。
    雨宮執着とも言えるくらいの真っ直ぐな愛です。
    花澤だから、配役を聞いたときにすぐ、「天ちゃんにぴったりだ」と思っていたんですよ。アフレコブースで実際に天ちゃんのお芝居を聞くと、白石くんに対してものすごく怖くて。いい味を出していたんです。
  • 愛の強さを指摘されていますけど……(苦笑)。
    雨宮いやいや、それはその通りですから(笑)。当然皆さんは久保さんと白石くんの関係性に注目するわけですけど、沙貴も負けないからなという気持ちです。私だって大好きなんだから! 渚咲ちゃん大好きなんだから! という独占欲を剥き出しにしていました。
  • 配役としては意外性があったものの、心持ちや愛の強さは似通っていたんですね。
    雨宮音響監督さんからは「もっと敵対視していいよ!」と怖くなるくらいのディレクションを頂いて。そこからは、この気持ち分かるぞ、と私が思うように独占欲に置き換えながら演じていきましたね。
  • 花澤さん・伊藤さん・雨宮さんは、別作品やラジオでも共演された経験がありますよね。一緒にお会いされたときはどんな雰囲気になるのでしょうか?
    花澤私たち三人が同時に会ったのは、『久保さんは僕を許さない』のアフレコが初めてだったんですよ。そのときに、天ちゃんと美来ちゃんが仲良しだってことを知ったんです。
    雨宮そうでしたね(笑)。昔いろいろあった結果、お互いでしか呼び合わないあだ名を付けているんですよ。
    花澤それを聞いて、私は一人で「いいねぇ!」ってテンションが上がっていました(笑)。
    雨宮美来ちゃんはみっくって呼ばれがちだと思うんだけど、私はみっくるって呼んでいて。たぶん、他にそう呼んでいる人はいないんですけど。
    伊藤そうそう。そらっちしか呼ばない。
    雨宮そらっちもみっくる以外に呼ぶ人がいないんだけどね(笑)。
    花澤そういう特別な呼び方、いいよね。
    伊藤特別な関係なんです(笑)。
    花澤私もかななって呼んでほしい!
    伊藤かなな、呼ばれたことないですよね!?
    雨宮初めて聞きました(笑)。現場だと、花澤さんがお姉さんみたいな感じだったことを覚えています。
    雨宮私はそこまで登場回数が多いわけではないので、三人揃って収録できたタイミングも少なかったんですけど、雑談した内容は詳しく覚えているんです。香菜さんが寝かせ玄米の話をしましたよね?
    花澤した! 最近ハマってるの。食べてくれたんだよね?
    雨宮はい! ものすごく美味しいって仰っていたので、すぐに注文したんです。実際に食べてみたらとても美味しくって。ハマっているものを聞いたときに玄米が出てくるなんて、理想的なお姉さん像じゃないですか。それも素敵だなと思いました。
    伊藤分かる! なんか花澤さんって、全部が綺麗なんだよね。
    雨宮そうそう。でも、過去の記憶を漁ると、変態トークもしているんだけど。
    花澤それは鎖骨フェチのあなたに言われたくない!(笑)
    雨宮でも、いいお姉ちゃんだなって思うんです。また変態トークもしたいですけど!
    花澤(笑)。普段はこんな感じなので、みっくるがお姉ちゃん役をやっていたことに、とてもびっくりしたんですよね。
    雨宮私も驚きましたね。ちょっと前に共演した作品だと、みっくるが妹ポジションをやっていたから。
    伊藤今、さらっとみっくる呼び入ってきましたね!? それに、私もびっくりしていましたから! アフレコ現場では、皆さんのお話を楽しく聞かせていただきつつ、ちょこちょこ会話の中に入っていました。いいところ取りみたいな形で(笑)。お姉さんたちに囲まれる中で、お姉ちゃん役をやるのは変な緊張感を感じましたね。
  • 『久保さんは僕を許さない』という作品の収録は、皆さんと白石くん役の河西健吾さんが中心で行われたと思います。
    花澤河西くんに決まったことは、アフレコが始まる直前に聞いていたんですよ。あまりにもぴったりだなとそのときから感じていて、アフレコで第一声を聞いたときも「あ~! 白石くんがいる!」って思っちゃいました(笑)。河西くんってカッコいい声を出すこともできますけど、白石くんみたいに素朴な演技も得意なんです。白石くんのモブっぽさも自然に表現されていて、本当に素敵でしたね。
    伊藤「白石くんがいる!」ってなりますよね! 原作を読んでいるときは、モブっぽさってどんな感じに演じるんだろうって声の想像が付いていなかったんです。でも、河西さんが演じたらあまりにもぴったりで。コメディチックになるところも、白石くんなので淡々とはしているんですけど、絶妙な間を表現されていて。モブでありながら色も要求される特殊なキャラクターではあると思うんですけど、とても上手だったので驚きました。
    雨宮河西さんの演技が素晴らしいですよね。素朴なキャラクターのピュアさを演じるのって、とっても難しいと思うんですよ。色で言えば、白いキャンバスに濃い色を載せていく方が演じる上では簡単なんです。でも、白石くんを演じるならば、できる限り白に近づけないといけないんですよね。そこを河西さんは素朴なお芝居で、白石くんがピュアでいいやつだと思わせてくれる。……まぁ、沙貴ちゃんは許してないんですけどね(笑)。私としては、渚咲ちゃんとのやり取りも許せるかな。あの河西さんの演技は、感動しましたと直接お伝えしたいくらいです。誠太くんとのやり取りも素晴らしいですしね。
  • 誠太くんとのやり取りもキュンと来ました。
    雨宮白石くんがそのときだけちゃんとお兄ちゃんをしていて、愛情深さが伝わってくるんですよね。あの温度感、めちゃくちゃいいんですよ。遠い親戚が甘やかすわけじゃなくて、ちゃんとお兄ちゃんが愛情を持って接しているのが尊いですよね。
    花澤甘やかされたいよね。本当に誠太くん、可愛かったです。
    伊藤登場するたびにアフレコ現場が沸きますよね。可愛すぎて、みんなが溜息するんです。
    花澤誠太くん役の伊瀬茉莉也ちゃんが先に録っていることが多かったんですよ。そのとっても可愛い演技を聞いていたら、一回は必ず溜息が漏れるんです。そんな誠太くんと沙貴ちゃんのやり取りも可愛くて。
    雨宮そのときだけ沙貴ちゃんがお姉ちゃんになるのも可愛いんです!
  • アニメとして動く渚咲・明菜・沙貴の姿をご覧になっていかがでしたか?
    花澤やっぱりあざとかったですね。本人は天然でやっているんだけど、客観的に観ると「ここでグイっと行くのか!」とか、「このアングルはあざといのでは?」といろんな角度で渚咲ちゃんのことを楽しめました。逆にそのあざとさを出すためにはどうやってセリフを言えばいいんだろうと、家で原作を読みながら練習をしていましたね。
    伊藤明菜は初登場したときからインパクトが強かったですよね。久保さんのことが大好きなお姉さんですけど、白石くんとの絡みではずっとニヤニヤしていて。妹のことが大好きなオーラを発することは意識しつつ、妖艶さ、セクシーさを出すように気を付けました。家では常にはだけているし、外でもはだけることがありますからね(笑)。
    雨宮沙貴って、久保家の中でもちっちゃい子じゃないですか。加えて、白石くんと絡むときって、嫉妬したりやきもちを焼いたりするので、ギャグシーンになりがちなんですよ。SDキャラクターで描かれることも多いので、映像ではちょこちょこ動くような形になるんですね。それがより可愛いんです! 原作を読んでいたときは大人しい子という印象が強かったんですけど、音響監督さんから「もっと嫉妬心をむき出しにして」というディレクションがあったので、その方向に振って演技をしてみました。完成した映像を観るのが楽しみです。
  • 台本を読んで、キュンと来たシーンはありましたか?
    花澤膝に乗るシーンですね。いやいや、膝に乗ったらダメだろ! って(笑)。
    伊藤好きになっちゃいますよね。
    雨宮かなり大胆ですし。
    花澤あれ、後で思い出して、渚咲も白石くんも絶対顔を赤くしているだろうね。あのときノリでやっちゃったけど、すごいことしちゃった、私! みたいな。あんなことされたらどんな男の子でも好きになっちゃいそうなのに、白石くんだからこそ思考停止のままでいられたんでしょうね。あれは思春期の男の子にやっちゃ、ダメです!
    伊藤ダメですね~、好きになっちゃいますね~。
    花澤髪の毛の香りがふわっとしたとか、柔らかい感触がしたとか、もうダメなんですよ!
  • 久保さんって距離感をガッと詰めてきがちですよね。
    花澤そうなんですよ。いつも距離が近くて。
    雨宮それでいていやらしくないのも、『久保さんは僕を許さない』の特徴ですよね。
    伊藤いや、一周回っていやらしいよ!(笑)
    花澤妄想を掻き立てられるけど、いやらしいシーンとして描かれているわけじゃなくて、さっき天ちゃんが言ったように尊いシーンになっているんだよね。
    雨宮絶妙ですよね! 絵柄と久保さんと白石くんのテンション感が相まって、ギリギリのところで成立しているというか。
  • 伊藤さんはいかがですか?
    伊藤連絡先を聞くところが可愛かったですよね。「写真を撮って送りたいから」と教えてもらうんですけど、久保さんは頑張っていないフリをしてサラッと聞くじゃないですか。その後、すぐに嬉しい表情をするのが可愛いんです。そこから可愛らしいやり取りが始まって、学生らしいなと思っていました。
    花澤風邪を引いたときにスタンプを間違えて押しちゃって、弟が間違えて押したから、って言い訳をするところもよかったよね。あれに対してからかい気味に返事をする渚咲ちゃんも可愛かったし。
    伊藤寂しがってくれて嬉しいのに、ついつい意地悪をしちゃうんですよね。心理テストをしているときも、二人で顔を真っ赤にしていて。いったい何を見せられているんだろう……って気持ちになりました(笑)。
    花澤白石くんが鈍感で良かったよね。いや、鈍感って言うよりも、最初からそういう考えが思い浮かばないのかな。
    伊藤でも、たまに前髪で隠しながら顔を赤くしているときがあるじゃないですか。そういう男の子みたいな表情できたんだ! って驚きますよ。「きゃーっ!」ってなった後に、白石くんだけポツンとしているときは、赤くなっているのか何なのか……。
    花澤あれは読者の方に委ねられているんですよ!
    伊藤分かっているのかいないのか、どっちが振り回されているのか、委ねられているんだ。
  • 久保家の共演シーンについても伺います。花澤さんと雨宮さんから見て、明菜はどういったキャラクターだと感じましたか?
    花澤アフレコ現場でも話題になったんですけど、渚咲が天然であざといことに対して、明菜さんは分かってやっている感があるんですよね。その上で「この人はみんな、好きになっちゃう!」って思いました。私と伊瀬ちゃんで、「ああいう女の人はどうなの?」って河西くんに詰め寄って聞いたりもして(笑)。「それは好きになっちゃいますよね」って困りながら無難な答えをされてましたけど。でも、面倒見が良くて、皆まで言わず見守っていてくれるのは、温かいお姉ちゃんですよね。
    雨宮絶妙なんですよね。いいお姉ちゃんでもあるけれど、悪いお姉ちゃんでもあるっていう。
    花澤普通だったら、渚咲ちゃんの同級生の男の子がえっちな本を読んでいることを伝えないもんね。「なんか、あいつのお姉ちゃん怖いんだけど!」って噂が回ってもおかしくない。その辺りのデリカシーはないのかもしれないけど。
    雨宮デリカシーはちょっと欠如してますよね。その一方で、だらしなさが絶妙にエロいのもいいです。渚咲と同じく、計算されていないあざとさもあると思うんですよ。
    花澤みんなそこが好きなんだろうね。
    雨宮お酒でだらしなくなるお姉さんは、みんな大好きですから! でも、あのお姉ちゃんと姉妹仲がいいっていうことは、渚咲ちゃんもいい子なんだなって自然と分かるのも、この作品のいいところですよね。
    花澤渚咲ちゃんは、お姉ちゃんに対していっぱい感謝していると思います。
    伊藤そういえば、明菜さんの好きなタイプの話をしたじゃないですか。
    花澤雨宮あぁ~!
    伊藤明菜さんはあんなに綺麗で料理もできる、しかもフレンドリーでコミュニケーション能力も高いのに、男の影がまったく見えないんですよね。
    花澤アフレコ現場で話題になったよね。「どういう男の人と付き合うのがいいんだろう」って。
    伊藤そもそも結婚するのかな、付き合うのかなって。
    花澤年下の男の人はいっぱい寄ってきそうだけれど。でも、そういう明菜さんが甘えたい、って線もあり得るじゃないですか。だから、いきなり十歳ぐらい年上の人を連れてくる日が来るかもしれないね、って具体的な話をしていたんです。
  • アフレコ現場では、そういったキャラクターの深掘りトークが繰り広げられていたんですね。
    花澤なんかこの作品に関しては盛り上がっちゃったんですよね。あと、「白石くんのお母さんの癒しオーラが半端じゃないよね」とか。白石くんのお母さんは能登麻美子さんが演じられているんです。能登さん演じるお母さんなら、こういう優しい子たちが生まれてくるんだろうなって説得感がありますよね。
  • 沙貴は久保姉妹の従妹として登場しますが、花澤さんと伊藤さんから見て、どのように感じましたか?
    花澤沙貴ちゃんは、本当にできる子だよね。お料理もめちゃくちゃ上手だし、なかなかあそこまで高校生と対等にお話はできないから。ちゃんと敬語も使えて、誠太くんとのやり取りもお姉さんしているし。
    伊藤欠点がないですよね。
    雨宮白石くんには噛みついちゃうけど。
    伊藤独占欲はあるから(笑)。
    花澤独占欲剥き出しにして怖いところもあるけどね。
    雨宮白石くんを前にしたときの、顔の変わり方がすごいですよね。
    花澤豹変するよね。でも、沙貴ちゃんが渚咲にデレているところも可愛いんだよなぁ。
    伊藤お姉さんに憧れているっていう気持ちがキラキラしていますよね。沙貴ちゃんが大人になるのがとっても楽しみです。大きくなったらどんな女の子になるんだろう。これだけ完璧だけど、独占欲が強い女の子……。
    花澤めちゃくちゃモテるだろうな~。
    雨宮渚咲離れできるかな?
    伊藤できなさそう。
    雨宮渚咲にこのままガチ恋しちゃったりして。
    花澤でも、白石くんがもし彼氏になったとしたら、対応も変わってくるんじゃない?
    雨宮どうするんだろ。ちゃんと認めるのかな……? 今だってあの若さで、マウントを取りに行っていますからね。したたかなところもありますし。「初めては私!」って言い始めるかもしれない。強いぞ、沙貴ちゃんは(笑)。
  • 白石くんについて、特に印象に残っているシーンはありましたか?
    花澤白石くんはいつでも優しいんですよ。相手のことをとても尊重してくれるし、渚咲も事あるごとに感謝するんですよね。その「ありがとう」が引き出される瞬間って、自然と口にしたくなるようなことを白石くんがしてくれていて。彼の持ち前の優しさを感じるシーンが多かったなと思います。……という話から唐突にですが、渚咲が白石くんのジャージの匂いを嗅ぐシーンが印象に残っていて(笑)。
    伊藤ポニーテールのときの(笑)。
    花澤そう! 高校のときって、彼氏のジャージを着ている女の子、みたいなシチュエーションってあったと思うんですよ。そこで白石くんのジャージを借りて、みんなが見ていないところで匂いを嗅ぐ。可愛いんだけど、こんなの観ていいのかって、いけない気持ちになりましたよね。
    伊藤ジャージを忘れちゃって借りちゃいました、みたいなことってしてる人いましたよね。
    花澤そこで、好きな人の匂いは嗅ぎたいから、ついついやっちゃうと。汗拭きシートのシーンも、渚咲が白石くんに貸したからお揃いの匂いになっていて。友だちには貸したくない、ってなるのがとても可愛いんですよね。
  • そんなアニメ『久保さんは僕を許さない』の見どころをお教えください!
    花澤ヤングジャンプさんや単行本で原作を楽しく読んでいらっしゃる方は、「アニメはどうなるんだろう?」とワクワクしてくださっていると思います。私たちは最終回までアフレコを終えましたが、ラストがとってもいいんですよ! なので、アニメを毎週楽しみにしてくださって、久保さんたちを見守っていただければ、ラストシーンで涙を流すことになると思います。ぜひ、最終回まで楽しみにご覧ください!
    伊藤『久保さんは僕を許さない』は、可愛らしいキャラクターと愛らしい画、仕草、表情がどのエピソードにもぎゅっと詰まっていて、あっという間に一話が終わってしまう作品です。現代社会に揉まれてお疲れの皆さまは、ぜひこの作品を観て癒されてほしいですね(笑)。それと同時に、久保さんと白石くんの関係にはもどかしさやキュンとするポイントがいっぱいあります。学生時代や初恋の記憶みたいな温かい思い出を掘り起こしつつ、観ていただけたら嬉しいです。
    雨宮『久保さんは僕を許さない』って、割と狭い人間関係の中でいろんな向きの矢印が交錯する作品だと思うんです。でも、どの矢印にも愛情が絶対含まれています。その愛情表現の仕方や向け方を観ていただけると、絶対にニヤニヤしたりほっこりしたりするんじゃないでしょうか。幸せな気持ちになれること間違いなしです! とはいえ、渚咲ちゃんへの愛情は沙貴ちゃんが一番なんですが。
    花澤過激派じゃん!
    雨宮そうですよ! その沙貴ちゃんの愛情表現も楽しんでいただけたら、演じている私は嬉しいですね。こういった作品で過激派がいるものはあまりないと思うので、笑って観ていただきたいですね。
    花澤基本は久保さんと白石くんのムズキュン作品ですけどね!
  • ※以上は、2023年1月19日に発売された「週刊ヤングジャンプ8号」に掲載されたインタビューとなります。
  • 構成・文/太田祥暉(TARKUS)
    取材/岡田勘一(マイストリート)
    編集協力/近藤和輝
    撮影/フジシロタカノリ
    スタイリスト/新田アキ
    ヘアメイク/花澤香菜:宇賀理絵 雨宮天:小林奈津美(admix B.G) 伊藤美来:武田沙織

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